原燃輸送株式会社

低レベル放射性廃棄物輸送容器の蓋固定用ボルトの締め付け不足に係る原因と対策、およびISO規格の基準への一部不適合について

原燃輸送株式会社

当社は、平成20年12月に、東北電力株式会社女川原子力発電所から日本原燃株式会社低レベル放射性廃棄物埋設センターに向けて、120個の輸送容器に収納された低レベル放射性廃棄物の輸送を行いました。

この輸送に使用した120個の輸送容器のうちの1個について、当社は、平成21年2月4日に、日本原燃株式会社から、蓋を固定するためのボルトが十分に締め付けられていなかった旨の連絡を受けました。なお、蓋を固定するためのボルトが十分に締め付けられていなかったことによる輸送途中での環境への影響はなく、輸送等に従事した作業員の有意な被ばくもありませんでした。

本件について、当社は、平成21年2月6日に、原子力安全・保安院および国土交通省から、放射性廃棄物等の輸送安全の一層の向上について、注意喚起文書を受領しました。

調査の結果、蓋を固定するためのボルトが十分に締め付けられていなかった原因について、当社が、女川原子力発電所において、輸送容器を受け取ってから、低レベル放射性廃棄物埋設センターに、これを引き渡すまでの間に、蓋を固定するためのボルトが緩むことは考えられず、当社が、女川原子力発電所において、輸送容器を受け取った時点で、すでに蓋を固定するためのボルトは、十分に締め付けられていなかったものと考えられます。また、東北電力株式会社の調査結果によれば、直接的な原因は、現場作業員が蓋を固定するためのボルトを締め忘れたものと推定されています。さらに、当社が、輸送容器を受け取った時点で、蓋を固定するためのボルトを確認する手順が抜けており、本事象を発見できませんでした。

当社としては、今後、輸送の前に、電力会社による輸送物の作成記録を確認するとともに、受け取り時に行う輸送容器の外観検査の内容を充実することといたします。また、これに関連して、品質管理システム手順書の見直し、改善、および充実を図ることとし、再発防止に努めてまいります。

また、上記の事象と関連して、平成21年2月12日に、東京電力株式会社福島第二原子力発電所に保管されていた輸送容器の状況を確認するとともに、国の輸送規則に基づく国際標準規格の貨物コンテナ規格(以下、「ISO規格」という。)基準の一つとして定められている輸送容器の上部隅金具上端と蓋上面の差を確認したところ、「6mm以上の間隔(※1)」というISO規格の要件を満たしていない輸送容器があることが判明しました。

輸送容器のISO規格の要件への適合性については、当社が、ISO規格への適合申請を行った平成14年当時、設計図に基づき確認しているものの、その後定期的に、実測に基づき確認を行っておりませんでした。なお、これまでに、同輸送容器を用いた輸送において、放射線等の異常は確認されておらず、環境および一般公衆への影響はなかったものと考えます。

本件について、当社は、平成21年4月3日に、国土交通大臣あてに、平成14年に取得した輸送容器がISO規格の基準に適合するとの承認書を返納するとともに、国土交通省に対して、原因究明および再発防止対策等に関する報告書を提出し、同日に、国土交通省から、低レベル放射性廃棄物輸送に係る不具合について厳重注意および指示文書を受領しました。また、平成21年4月1日に、原子力安全・保安院に対して、原因究明および再発防止対策等に関する報告書を提出し、平成21年4月3日に、原子力安全・保安院から、低レベル放射性廃棄物輸送における保安措置について注意および指示文書を受領しました。

なお、今後の低レベル放射性廃棄物輸送については、当面、ISO規格の基準を適用した輸送は実施せず、ISO規格の基準を適用する以前に適用していたIP-2型輸送物に係る一般の試験条件に基づく基準(※2)を用いて、輸送することといたします。

当社としては、今後、品質管理体制を強化するとともに、品質管理システム手順書の見直し、改善、および充実を図ることといたします。また、これに関連して、従業員に対する設計業務技術レベル向上のための教育を強化することとし、再発防止に努めてまいります。

以上

(※1)設計上の最大重量の積荷を入れて、輸送容器を積み重ねた場合、上層の輸送容器の床構造部と下層の輸送容器の蓋が干渉することで、輸送容器および積荷を傷めることがないような段差として規定されています

(※2)平成4年の低レベル放射性廃棄物輸送の開始以降、輸送容器は、国の輸送規則に基づき、IP-2型輸送物に係る一般の試験条件に基づく基準に適合するものとして運用してきました。しかし、平成13年にIAEA(国際原子力機関)の輸送規則として、ISO規格の要件が整備されたことから、平成14年以降、輸送容器がISO規格の基準に適合するとの承認を得て運用してきました。

(参考)低レベル放射性廃棄物輸送容器の図

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